■不正競争防止法改正と退職者による営業秘密の防止 26
令和6年4月1日施行の改正不正競争防止法では、営業秘密・限定提供データの保護の強化のため、使用等の推定規定が拡充されます(同法5条の2)。
営業秘密保持者から不正取得した営業秘密を侵害者が使用しているかを立証することは困難であるため、現行法では「営業秘密」を不正取得し、かつ、「その営業秘密」を使用すれば生産できる製品を生産している場合には、「その営業秘密」を使用したと推定する規定が設けられています。しかしながら、現行法では推定規定の適用対象が、悪質性の高い者=(1)営業秘密へのアクセス権限がない者(産業スパイ等)や(2)不正に取得等した者から、その不正な経緯を知った上で転得した者に限定されていました。
今回の改正で、推定規定の適用対象が、(3)元々営業秘密にアクセス権限のある者(元従業員、業務委託先等)や(4)不正な経緯を知らずに転得したがその経緯を事後的に知った者にも、悪質性が高いと認められる場合(例えば、(3)については、その営業秘密が記録された媒体等を許可なく複製等(領得)した場合、(4)については、警告書が届いた後も、営業秘密が記録されている媒体等を削除しなかった場合など)に拡充されます。
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